小児:静脈血栓塞栓症の治療および再発抑制(小児VTE)

EINSTEIN JUNIOR
国際共同第Ⅲ相試験

試験デザイン

「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は最新の電子添文をご参照ください。
イグザレルトは、国内及び国外で実施された第Ⅰ~Ⅲ相試験成績を基に承認されました。
一部承認外の用法及び用量による成績が含まれますが、承認時評価資料のため紹介します。

目的

急性VTEの小児患者における、体重で調整したイグザレルトの有効性および安全性を従来療法と比較検討すること

対象

EINSTEIN JUNIOR:試験デザインの図

有効性主要評価項目

症候性VTEの再発

安全性主要評価項目

重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血

1)

非日本人成人VTE患者にイグザレルト20mg(日本人では15mg)を1日1回投与時の曝露量に相当するよう体重で調整。

2)

2歳未満のカテーテル関連VTE患者の場合,主要投与期間は1ヵ月間,延長投与期間は1ヵ月間ごとに設定し,最大投与期間は3ヵ月間とした。

3)

低分子量ヘパリンは「VTEの治療および再発抑制」に対して、フォンダパリヌクスは「VTEの再発抑制」に対しては本邦未承認

解析計画

有効性の主要な解析は無作為割り付けされた全例(有効性解析対象集団)について行い、有効性主要評価項目及び副次評価項目について、主要投与期間終了時の集積データにおける投与群ごとの発現頻度を算出した。
安全性の解析は治験薬を少なくとも1回投与された症例(安全性解析対象集団)について行い、無作為割付けから治験薬最終投与2日後までに発現したすべての出血を投与群ごとに集計した。また安全性主要評価項目である重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血について発現割合を算出した。
また、各評価項目について、年齢、体重、剤形別に算出した。

有効性評価項目

【副次評価項目】
症候性VTEの再発又は画像検査上の無症候性の血栓像の悪化
【その他の評価項目】
Net clinical benefit(症候性VTEの再発又は重大な出血)、画像検査上の無症候性の血栓像の正常化及び悪化

安全性評価項目

【その他の評価項目】
重大な出血、有害事象、死亡

その他の評価項目

薬物動態、薬力学、ドライシロップの嗜好性及び許容性など

判定基準

すべての評価項目及び画像検査結果は中央独立判定委員会(CIAC)が盲検下で評価した。
重大な出血(ISTH基準)は、2g/dL以上のヘモグロビン量の低下を伴う出血、2単位以上の輸血(濃厚赤血球又は全血)が必要な出血、重要な臓器における出血、死因となった出血とした。
重大ではないが臨床的に問題となる出血は、重大な出血の定義を満たさないが、医学的な介入、予定外の来院又は電話による問診や治験薬の投与中止(中断)を必要とする、痛みなどの不快な症状を伴う、あるいは日常生活に支障を来す明らかな出血事象と定義した。

主な選択基準および除外基準

  • 主な選択基準

VTEと確定診断され、治療量域のUFH、LMWHまたはフォンダパリヌクスによる初期治療を受け、少なくとも90日間の抗凝固療法を必要とする生後0ヵ月から18歳未満の小児。ただし、2歳未満のカテーテル関連VTEの小児は、少なくとも30日間の抗凝固療法を必要とするもの

6ヵ月未満は以下に該当する小児
・出生時の月齢が37週間以上
・経口/経鼻/胃管摂食の経験が10日間以上
・体重が2600g以上

UFH:未分画ヘパリン、LMWH:低分子量ヘパリン(エノキサパリン、Tinzaparin、ダルテパリン)

  • 主な除外基準

抗凝固療法が禁忌となる活動性出血あるいは出血リスクを有するもの

凝固障害を伴う肝疾患のあるもの

持続したコントロール不良の高血圧を有するもの

生命予後が3ヵ月未満と考えられる重篤な合併症を有するもの

eGFR 30mL/min/1.73m2未満#のもの

血小板数 50×109/L未満のもの

#:

1歳未満の小児は事前規定した97.5パーセンタイル血清クレアチニン値を超えるもの、1歳以上2歳未満の日本人小児は0.93mg/dL以上のものを対象から除外

患者背景①

EINSTEIN JUNIOR:患者背景の表①

n(%)、有効性解析対象集団

患者背景②

EINSTEIN JUNIOR:患者背景の表②

*:未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、フォンダパリヌクス

n(%)、有効性解析対象集団

有効性評価項目

EINSTEIN JUNIOR:有効性評価項目の表

*:症候性VTEの再発又は重大な出血
**:ベースライン時及び主要投与期間終了時の画像検査が利用可能であった患者で,症候性VTEの再発を伴わない症例
有効性解析対象集団/主要投与期間

解析方法:

有効性主要評価項目/インデックスイベント(CVST,カテーテル関連VTE,非カテーテル関連VTE)を層とした層別Cox比例ハザードモデル(共変量:投与群)
解析方法:有効性副次及びその他の評価項目/ロジスティック回帰モデル(共変量:投与群及びインデックスイベント),比例オッズモデル(共変量:投与群及びインデックスイベント),インデックスイベントで層別したvan Elterenのノンパラメトリック検定

安全性評価項目

EINSTEIN JUNIOR:安全性評価項目の表

安全性解析対象集団/主要投与期間

年齢層別の有効性および安全性

  • 症候性VTEの再発 [有効性主要評価項目]

EINSTEIN JUNIOR:[有効性主要評価項目]の表

有効性解析対象集団/主要投与期間

  • 重大な出血又は重大ではないが臨床的に問題となる出血 [安全性主要評価項目]

EINSTEIN JUNIOR:[安全性主要評価項目]の表

安全性解析対象集団/主要投与期間

有害事象

EINSTEIN JUNIOR:有害事象の表

安全性解析対象集団/主要投与期間(3ヵ月又は1ヵ月)
有害事象は、発現頻度が高かった上位3事象を記載


承認時評価資料、Male C et al, Lancet Haematol 2020: 7: e18-e27
COI: 本研究はバイエルの資金により行われた。また、著者にバイエルより講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。