適正使用情報

投与にあたって
イグザレルトのご使用にあたって、特にご留意いただきたい点

 クレアチニンクリアランスの確認

本剤の処方時及び投与開始後も定期的に血清クレアチニン、体重を測定しクレアチニンクリアランスを算出してください。
クレアチニンクリアランスの値が30mL/min未満である場合、本剤を中止して、他剤へ変更してください。
SPAF:腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min 未満)の患者は禁忌

参 考
eGFR推算式には体重の要素が入っておらず、低体重の患者などではeGFRとクレアチニンクリアランスは相関しません。したがって、本剤の用量選択にeGFRを用いることは勧められません。必ず年齢、体重、血清クレアチニン値からCockcroft-Gault推定式を用いて、クレアチニンクリアランスを算出し、本剤の投与の可否を決定するようにしてください。
参 考
腎機能正常(クレアチニンクリアランス≧80mL/min)並びに、軽度(クレアチニンクリアランス50~79mL/min)、中等度(クレアチニンクリアランス30~49mL/min)及び重度(クレアチニンクリアランス15~29mL/min)の腎障害を有する被験者に空腹時に本剤10mgを単回投与し、本剤の薬物動態及び薬力学的効果を検討しています。軽度、中等度及び重度の腎障害のある患者では、健康被験者と比較して、本剤のAUCがそれぞれ1.4、1.5及び1.6倍、第Xa因子活性の阻害率が1.5、1.9及び2.0倍に増加し、PTも1.2、2.2及び2.4倍に延長し、本剤の曝露量及び薬力学的効果は腎機能の悪化とともに増加しました。
Kubitza D, et al.: Br J Clin Pharmacol 2010; 70: 703-712.
血行動態の確認
本剤は「深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制」の効能・効果にて承認を得ています。血行動態が不安定な患者(下の参考を参照)における臨床試験の有効性・安全性に関するデータはなく、そのような患者には本剤の使用は推奨されていません。
Expert opinion
● ショックあるいは低血圧状態(下記臨床重症度分類参照)を脱したことを確認し、血行動態が安定した段階
      で、本剤の使用を考慮する。

参 考
日本循環器学会 の「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」によると血行動態と心エコー所見を組み合わせた重症度分類が用いられている。
急性肺血栓塞栓症の臨床重症度分類
血行動態 心エコー上右心負荷
Cardiac arrest Collapse 心停止あるいは循環虚脱 あり
Massive(広範型)
不安定
ショックあるいは低血圧(定義
:新たに出現した不整脈、脱水、
敗血症によらず、15分以上継続する収縮期血圧<90mmHgあるいは≧40mmHgの血圧低下)

あり
Submassive(亜広範型) 安定(上記以外) あり
Non-massive(非広範型) 安定(上記以外) なし
禁忌症例の確認
以下の患者さんには投与しないでください。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)(抜粋)
[全効能共通]
  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 出血している患者(頭蓋内出血、消化管出血等の臨床的に重大な出血)[出血を助長するおそれがある。]
  3. 凝固障害を伴う肝疾患の患者[出血の危険性が増大するおそれがある。]
  4. 中等度以上の肝障害(Child-Pugh分類B又はCに相当)のある患者[出血の危険性が増大するおそれがある。]
  5. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
  6. HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル、ロピナビル・リトナビル、アタザナビル、インジナビル、サキナビル、
    ダルナビル、ホスアンプレナビル、ネルフィナビル)、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビルを投与
    中の患者[「相互作用」、「薬物動態」の項参照]
  7. コビシスタットを含有する製剤を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
  8. アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール)の経口又は注射
    剤を投与中の患者[「相互作用」、「薬物動態」の項参照]
  9. 急性細菌性心内膜炎の患者[血栓剝離に伴う血栓塞栓様症状を呈するおそれがある。]
[深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制]
重度の腎障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者[使用経験がない.]
肝機能の評価
肝機能の評価の指標には、肝硬変のステージ分類であるChild-Pugh分類(表)を使用してください。Child-Pugh分類B又はCに相当する患者には本剤は禁忌です。

Child-Pugh分類

評点

1点

2点

3点

肝性脳症

なし

1~2度

3~4度

腹水

なし

軽度

中等度以上

血清ビリルビン濃度(mg/dL)

1-2

2-3

>3

血清アルブミン濃度(g/dL)

3.5

2.8-3.5

<2.8

プロトロンビン時間延長(秒)

1-4

4-6

>6


総スコア

クラス

重症度

5~6

A

軽度

7~9

B

中等度

10~15

C

重度

Pugh RN et al. : Br J Surg 1973; 60: 646-649
腎機能の評価
腎機能の評価の指標には、血清クレアチニン、体重、年齢からCockcroft-Gault推定式を用いてクレアチニンクリアランスを算出してください。
出血リスクの確認
以下の患者には慎重に投与をしていただくようお願いします。また本剤の投与にあたっては、血清クレアチニン体重、年齢からクレアチニンクリアランスを算出したうえで、投与の可否を決定してください。投与中には出血の徴候に注意して慎重に経過観察をお願いします。
  • 1)出血リスクが高い患者
          止血障害、凝固障害、先天性又は後天性の出血性疾患、コントロールできない重症の高血圧症、血管性網膜
          症、活動性悪性腫瘍の患者、活動性の潰瘍性消化管障害の患者、消化管潰瘍発症後日の浅い患者、頭蓋内出血
          発症後日の浅い患者、脊髄内又は脳内に血管異常のある患者、脳脊髄や眼の手術後日の浅い患者、気管支拡張
          症又は肺出血の既往のある患者等
  • 2)腎障害のある患者(クレアチニンクリアランス30~49mL/min)
  • 3)高齢者(75歳以上)
  • 4)低体重の患者(50kg以下)
  • 5)抗血小板剤、特に抗血小板剤2剤併用の有無
          抗血小板剤2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに
          慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用してください。
  • 6)非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤、抗血栓療法を併用されている患者
Expert opinion
●硬膜外カテーテルを留置している患者には、本剤の投与を避ける(穿刺部位における血腫の危険性が増大す
   る)。

●下大静脈フィルターが留置された患者に対する本剤の安全性及び有効性のデータがない。ただし、フィル
    ター挿入後は禁忌でなければ抗凝固療法を早期に開始することが推奨されており、本剤を使用できる。


【警告】(抜粋)
[深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制]
(1)深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与時においては、特に出
        血の危険性が高まる可能性を考慮するとともに、患者の出血リスクに十分配慮し、特に、腎
        障害、高齢又は低体重の患者では出血の危険性が増大するおそれがあること、また、抗血小板
        剤を併用する患者では出血傾向が増大するおそれがあることから、これらの患者については治
        療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ本剤を投与すること。
(2)脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等との併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫によ
        る麻痺があらわれるおそれがある。深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症を発症した患者が、硬膜
        外カテーテル留置中、もしくは脊椎・硬膜外麻酔又は腰椎穿刺後日の浅い場合は、本剤の投与
        を控えること。
投与期間の確認
本剤は深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症の発症後初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回食後に経口投与してください。その後は15mgを1日1回食後に投与してください。投与期間は深部静脈血栓症あるいは肺血栓塞栓症の再発リスクが出血リスクを上回ると判断される期間とし、漫然と投与を継続することは控えてください。
用法・用量に関連する使用上の注意(一部抜粋)
(2)本剤の投与期間については、症例ごとの深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の再発リスク並びに出血リスクを考慮し         て決定し、漫然と継続投与しないこと。
Expert opinion
● 深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症の発症後初期3週間は再発リスクが高い1)ため、画像上の血栓の有無に関
      わらず、本剤の投与開始後初期3週間は15mg1日2回を投与し、その後15mg1日1回へ変更する。
● 本剤を長期的(1年以上)に使用する場合は、深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症の再発リスク並びに出血リ
      スクを考慮し国内外のガイドラインを参考にして決定する。


1) Limone BL et al.: Thromb Res 2013; 132: 420-426.
参 考
日本循環器学会の肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)では、「可逆的な危険因子がある場合には3か月間の、先天性凝固異常症や特発性の肺血栓塞栓症では少なくとも3か月間のワルファリン投与を行い、それ以後の抗凝固薬の継続はリスクとベネフィットを勘案して決定する。」「癌などの発症素因が長期にわたって存在する患者、あるいは複数回の再発を来たした患者でも長期の抗凝固療法を考慮する」と記載があります。
静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の継続期間
危険因子の種類 抗凝固療法の継続期間
危険因子が可逆的である場合(最近の手術又は外傷後のもの、不動の状態にあるもの、エストロゲン製剤服用中のもの、産褥期にあるもの) 3か月間
特発性の静脈血栓塞栓症
先天性凝固異常症
少なくとも 3 か月間
(リスクとベネフィットを勘案して期間を決定)
癌患者
再発を来たした場合
より長期間
日本循環器学会:肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)より抜粋

イグザレルトの効能・効果、用法・用量及び薬物動態学的特性

効能・効果、用法・用量
販売名
イグザレルト錠 10mg/15mg
効能・効果
深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
用法・用量
通常、成人には深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間はリバーロキサバンとして15mgを1日2回 食後に経口投与し、その後は15mgを1日1回食後に経口投与する。

【用法・用量に関連する使用上の注意】

  1. 1)特に深部静脈血栓症又は肺血栓塞栓症発症後の初期3週間の15mg1日2回投与中は、出血のリスクに十分注意すること。
  2. 2)本剤の投与期間については、症例ごとの深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の再発リスク並びに出血リスクを考慮して決定し、漫然と継続投与しないこと。
 薬物動態学的特性
一般名
リバーロキサバン(Rivaroxaban)
構造式
作用部位
第Ⅹa因子
バイオアベイラビリティ
ほぼ100%
Tmax
0.5-4時間
消失半減期
5-13時間
代謝
投与量の2/3が肝臓で代謝
排泄
投与量の1/3が未変化体(活性体)のまま腎臓から排泄

*5mg及び20mgを空腹時に経口投与した際の絶対的バイオアベイラビリティは112%及び66%、10-20mgを食後投与した際は、 ほぼ100%である。
製品添付文書より一部抜粋
L.JP.MKT.XA.04.2018.1837