適正使用情報

重要な基本的注意

 ワルファリンから本剤への切り替え
ワルファリンから本剤に切り替える場合、ワルファリンの投与を中止したうえで、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)等、血液凝固能検査を行い、治療域の下限以下であることを確認した後、可及的速やかに本剤の投与を開始してください。治療域の下限は、国内外の学会のガイドライン等、最新の情報を確認してください。

■ ワルファリンから本剤への切り替え

細粒分包の場合も同様


ワルファリンの体内動態と抗凝固作用は個人差が大きく、肝あるいは腎障害、加齢による肝薬物代謝能の低下などが複雑に関係します。
ワルファリン中止に伴う血栓イベントリスクの上昇と、ワルファリンの効果が残っている状態での本剤追加による出血リスクの増大の両方に配慮し、頻回の血液凝固能検査を行うなど慎重に対応してください。
 本剤からワルファリンへの切り替え
本剤からワルファリンへの切り替え時においては、本剤の抗凝固作用は速やかに消失し、十分なワルファリンの効果が得られるまで数日を要するため、抗凝固作用が不十分になる可能性が示唆されています。したがって、抗凝固作用が維持されるよう注意し、PT-INR等、血液凝固能検査の値が治療域の下限を超えるまでは、ワルファリンと本剤を併用してください。 本剤の投与によりPT-INRが上昇する場合があるため、本剤投与後24時間経過するまでは本剤の影響でPT-INR値がワルファリンの抗凝固作用を正確に反映しない可能性があります。したがって、併用期間中のPT-INRの測定は、本剤の影響を考慮して次回投与直前に行ってください。

*:ワルファリンの経口投与後の抗凝固効果は通常12~24時間後に発現し、十分な効果は36~48時間後に得られる。その作用は48~72時間持続する。

日本血栓止血学会編: わかりやすい血栓と止血の臨床, 南江堂 2011; p210.

■ 本剤からワルファリンへの切り替え

細粒分包の場合も同様

ワルファリンへの切り替えにあたっての注意点。
切り替え時はワルファリンと本剤を併用してください。ワルファリンと本剤の併用時には出血リスクに注意してください。
ワルファリン投与開始後は、頻回に血液凝固能検査を行ったうえでPT-INRが治療域下限を超えた時点で速やかに本剤を中止してください。なお、ワルファリン投与開始からPT-INRが治療域に入るまでには日数がかかります。本剤はPT-INR値に影響を与えるので、ワルファリン用量設定のためのPT-INRの測定は、本剤投与後24時間以上経過後に測定してください。

■ 直ちに本剤からワルファリンへの切り替えが必要な場合

細粒分包の場合も同様

 出血の予防法
イグザレルトは、その薬理作用から出血リスクを伴うため、患者さんに対して、出血リスクを伴うこと、出血の予防法、出血時の対処法等を十分にご指導ください。


高血圧を伴う患者さんへの注意事項
高血圧を伴う患者さんでは、抗凝固療法中に出血リスクが増大します。
十分な血圧管理のためにも、以下の点を患者さんにご指導ください。
  血圧が高いほど頭蓋内出血リスクが高まりますので、普段から血圧を良好に管理いただくようご指導ください
  ご家庭で測定された血圧値が異常な場合は、主治医に相談するようご指導ください
  毎日、きちんと高血圧の薬も服用するようご指導ください
出血時の対処
出血が認められる場合は、以下の処置を行ってください。

  1. 適宜、次回の投与を延期するか、投与を中止してください。本剤の消失半減期は5-13時間です。
  2. 症例ごとの出血の重症度及び部位に応じた出血に対する処置を講じてください。
  3. 機械的圧迫(高度の鼻出血等)、出血管理のための外科的止血、補液及び血行動態の管理、血液製剤(合併する貧血又は凝固障害に応じて濃厚赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸注を行う)又は血小板輸血等の適切な対症療法の開始を考慮してください。
  4. 「脳内出血」や「クモ膜下出血」の場合は、十分な降圧を行ってください。
  5. 上記処置にて止血が困難な場合は、下記製剤の投与を考慮してください
    • ・PCC
    • ・aPCC
    • ・rFVIIa


蛋白結合率が高いので、血液透析はイグザレルトの除去には有用でないと考えられます。
*ただし、臨床データは十分ではありません。

*製品添付文書「過量投与」より一部抜粋

出血時に患者さんが行う応急処置
出血が起きた場合の対処法について、患者さんにご指導ください。



鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合には、主治医に連絡するようご指導ください。

イグザレルト投与中の手術又は侵襲的処置における対応
イグザレルトの投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、以下の点に留意してください。

基本的な方法
臨床的に可能であれば、イグザレルトの投与後24時間以上経過した後に、手術又は侵襲的処置を実施することが望ましいと考えられます。

手術又は侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合
緊急性と出血リスクを評価し、処置の実施をご判断ください。

投与再開
手術や侵襲的処置後、患者さんの臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかにイグザレルトの投与を再開してください。

*製品添付文書「過量投与」より一部抜粋


(参考)
●抜歯、白内障手術及び術後出血への対応が容易な体表の小手術の場合

イグザレルト継続下での実施が望ましいと考えられます。日本循環器学会の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」において、「新規経口抗凝固薬の継続下での抜歯や白内障手術」及び「術後出血への対応が容易な体表の小手術(ペースメーカ植込みを含む)時の抗凝固薬の内服継続」を「クラスⅡa'」としています。

●通常消化器内視鏡による観察、生検、出血低危険度の消化器内視鏡の場合
・通常消化器内視鏡
  上部消化管内視鏡(経鼻内視鏡を含む)、下部消化器内視鏡、超音波内視鏡、カプセル内視鏡、内視鏡的逆行性膵胆管造影
・内視鏡的粘膜生検(超音波内視鏡下穿刺吸引術を除く)
・出血低危険度の消化器内視鏡
   バルーン内視鏡、マーキング(クリップ、高周波、点墨など)、 消化管・膵管・胆管ステント留置法(事前の切開手技を伴    わない)、内視鏡的乳頭バルーン拡張術

藤本一眞他: 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン, Gastroenterol Endosc 2012, 54: 2073-2102.

これらの処置当日は、イグザレルトの血中濃度の推移と、血栓塞栓症のリスクレベルを考慮して、内服と処置のタイミングを症例ごとに判断してください。日本消化器内視鏡学会の「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」(2012年)では、「抗凝固薬を休薬なく実施してもよい」とされています。

●出血高危険度の消化器内視鏡(ポリペクトミー等)の場合
・出血高危険度の消化器内視鏡
   ポリペクトミー(ポリープ切除術)、内視鏡的粘膜切除術、内視鏡的粘膜下層剥離術、内視鏡的乳頭括約筋切開術、内視鏡的    十二指腸乳頭切除術、超音波内視鏡下穿刺吸引術、経皮内視鏡的胃瘻造設術、内視鏡的食道・胃静脈瘤治療、内視鏡的消化管    拡張術、内視鏡的粘膜焼灼術、その他

藤本一眞他: 抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン, Gastroenterol Endosc 2012, 54: 2073-2102.

イグザレルトの投与24時間以上経過した後の実施が望ましいと考えられます。なお、それ以上の間隔が開く時には必要に応じたヘパリン置換を考慮する。

●他の抗血栓薬と併用している場合の消化器内視鏡検査
抗血栓薬の休薬が可能となるまで内視鏡の延期が望ましいと考えられます。

●大手術及び出血が起こった場合に対処が困難な体表の小手術の場合
イグザレルトの投与24時間以上経過した後の実施が望ましいと考えられます。なお、それ以上間隔が開く時には必要に応じたヘパリン置換を考慮してください。日本循環器学会の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)」において、「24時間以上のイグザレルトの中止」を「クラスⅡa'」としています。
クラスⅠ : 手技、治療が有効、有用であるというエビデンスがあるか、あるいは見解が広く一致している。
クラスⅡ : 手技、治療の有効性、有用性に関するエビデンスあるいは見解が一致していない。
クラスⅡa : エビデンス、見解から有用、有効である可能性が高い。
クラスⅡa’: エビデンスは不十分であるが、手技、治療が有効、有用であることにわが国の専門医の意見が一致して                     いる。
クラスⅡb : エビデンス、見解から有用性、有効性がそれほど確立されていない。
クラスⅢ : 手技、治療が有効、有用でなく、ときに有害であるというエビデンスがあるか、あるいは見解が広く一                     致している。
イグザレルトの服用を忘れた際の対応
服用を忘れた場合は直ちにイグザレルトを服用し、翌日から毎日1回の服用を行うよう患者さんにご指導ください。
服用を忘れた場合でも、一度に2回分を服用せず、次の服用まで12時間以上空けるよう、患者さんにご指導ください。
製品添付文書「重要な基本的注意」より一部抜粋



国外第Ⅲ相試験(ROCKET AF)において、イグザレルトの投与終了後に血栓・塞栓イベントが多く認められました。
したがって、出血時等でご自身の判断により服用をやめたり、飲む回数を減らしたりしないよう、患者さんにご指導ください。