疾患関連情報

◆ 座談会



新ガイドラインの改訂ポイントと抗不整脈薬の選択-4

心拍数調節のための治療選択肢


  J-RHYTHM試験で心拍数調節治療のために使用された薬剤はβ遮断薬、Ca拮抗薬、ジギタリスであるが、発作性心房細動例ではβ遮断薬が最も多く(51.5%)、持続性心房細動例ではジギタリスが最も多かった(42.9%)14)。これは今日わが国の臨床現場の実態を反映していると思われる。両ガイドラインにおいては、デルタ波がない場合、心機能が良好な例にはβ遮断薬またはCa拮抗薬を優先的に選択し、心機能が低下している例にはジゴキシンを優先的に選択することを推奨している(図4)。一方、デルタ波がある場合は、これらの薬剤は副伝導路の活動電位を短縮させて頻脈を促進する可能性があるため、Na(+/-K)チャネル遮断薬(Ⅰ群薬)の静注を推奨している。
その他のガイドライン改訂事項
  両ガイドラインではその他に、脳塞栓症予防のための抗血栓療法における抗血小板薬の評価、心房細動を起こしやすい病態に対するアップストリーム治療の位置づけが明確にされた。
  「不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版)」では、抗不整脈薬の種類と特徴をまとめた表(ガイドラインの表3)において、各薬剤の添付文書などに基づいて以下の変更が行われた。①プロカインアミドの心臓外の副作用として静注で「血圧低下」、②ピルジカイニドの左室への影響は「↓」、③ベプリジルの排泄経路は「肝」、心臓外の副作用として「肺線維症」、④アミオダロンの副作用として静注で「血圧低下」、⑤ATPの心臓外の副作用として「気管支攣縮」。また、腎機能・肝機能障害別の薬剤選択を示した表(ガイドラインの表表4)においても、添付文書に基づき多くの変更が行われた。ベプリジルは肝代謝型であることが明らかになったため腎機能障害例でも使用可能とされ、またアプリンジンは肝機能障害が軽度であれば禁忌ではなくなった。
■Reference
  • 1)心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版).Circ J 2008;72 (Suppl IV):1581-638.
  • 2)不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版).
  • http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2009_kodama_d.pdf.
  • 3)Gallagher MM, et al. Pacing Clin Electrophysiol 1997;20:1603-5.
  • 4)Rate Control versus Electrical Cardioversion for Persistent Atrial Fibrillation Study Group. N Engl J Med 2002;347:1834-40.
  • 5)Hohnloser SH, et al. Lancet 2000;356:1789-94.
  • 6)Wyse DG, et al. N Engl J Med 2002;347:1825-33.
  • 7)Carlsson J, et al. J Am Coll Cardiol 2003;41:1690-6.
  • 8)J-RHYTHM Investigators. Circ J 2009;73:242-8.
  • 39)Komatsu T, et al. Circ J 2004;68:729-33.
  • 10)Atarashi H, et al. Am J Cardiol 1996;78:694-7.
  • 11)Nakazato Y, et al. Circ J 2005;69:44-8.
  • 12)Fujiki A, et al. Am J Cardiol 2003;92:472-5.
  • 13)Flaker GC, et al. J Am Coll Cardiol 1992;20:527-32.
  • 14)小川聡, ほか編. J-RHYTHM News, No. 8. J-RHYTHM 試験事務局.
質疑応答
  • Q:洞調律を長期間維持できている例でも治療を継続するべきか。
  • A:患者と相談のうえ試みに投薬を中止してもよい。ときどき発作がある場合は薬剤を変更するか、特に高齢者では強力な抗不整脈薬治療は薦められない。
  • Q:除細動にピルジカイニドの大量投与という方法があるが、注意点は。
  • A:医師の前でまず通常量を服用させ、少しずつ追加して、問題がないことを確認するべき。ピルジカイニドと同様に心臓以外の副作用が少ないフレカイニドでも可能。
  • Q:除細動と洞調律維持は同じ方法でよいか。
  • A:Naチャネル遮断薬を長期間継続すると心房のNaチャネルが枯渇するという見解もあったが、実際の臨床ではNaチャネル遮断薬を継続しても問題ない。
  • Q:洞調律維持治療で抗不整脈薬併用の具体例は。
  • A:発作性なら心臓以外の副作用が少ないピルジカイニドと抗コリン作用のあるジソピラミド、持続性ならベプリジルとアプリンジン。
  • Q:抗コリン作用のある薬をどう使うか。
  • A:副交感神経を抑制するので、発作が早朝明け方に起こる患者が就寝前に服用するとよい。
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