疾患関連情報

◆ 特別企画



新ガイドラインの改訂ポイントと抗不整脈薬の選択-3

基礎疾患を有する心房細動に対する治療戦略

  一般にNaチャネル遮断薬は孤立性心房細動に対する洞調律維持には有効性が高いが、左房径が拡大した症例や器質的心疾患を有する症例では有効性が大きく下がる。これに対してKチャネル遮断作用を有する薬は、左房径拡大例、器質的心疾患を有する例でもある程度の有効性が期待できる。また、SPAF(Stroke Prevention in Atrial Fibrillation Study)試験のサブ解析13)で、心機能正常例ではNaチャネル遮断薬による洞調律維持治療を行っても生命予後が悪化しないが、心不全合併例に対してNaチャネル遮断薬を投与すると、投与しない群に比べて予後が悪化することが報告された。
  これらの知見に基づき、両ガイドラインでは器質的病的心(肥大心、不全心、虚血心)に伴う心房細動に対する治療戦略においては、まず器質的病的心の改善を図るためのアップストリーム治療、次には心拍数調節治療を薦めているが、症状が強い症例に洞調律維持治療を行う場合には、Kチャネル遮断作用を有するベプリジル、ソタロール、アミオダロン(経口)、およびNaチャネル遮断薬でも心機能への影響が少ないアプリンジンが推奨された(図3)。
これらの薬剤のうち、ベプリジルはその催不整脈作用のため、またソタロールはその陰性変力作用のため、それぞれうっ血性心不全例、重度のうっ血性心不全例に対して禁忌である。一方、Ⅰb群薬のアプリンジンはNaチャネルが非活性化状態となる活動電位のプラトー相(第2相~第3相)で薬物結合を生じるために、リドカイン、メキシレチンと同様に心機能抑制が少ない。また、薬物結合動態は他のⅠb群薬と異なり、使用頻度依存性抑制の発現速度が比較的遅く、回復時定数は5.1秒であることから、アプリンジンはfast kinetic drug(速やかに解離)ではなくintermediate kinetic drug(やや遅れて解離)とされている。さらにアプリンジンは心房筋の有効不応期を若干延長させ、遅延整流K電流(ⅠK)を抑制する。これらのことからアプリンジンは心房性不整脈にも有効である。
  アミオダロンの副作用として肺線維症(間質性肺炎)、甲状腺機能異常が知られている。特に肺線維症は少量投与でも起こることがあるので要注意である。ベプリジルもアミオダロン同様に肺線維症を起こしやすく、またベプリジルにはQT延長による催不整脈作用も認められている。QT延長に伴う薬剤誘発不整脈が生じやすい条件として、低カリウム血症、徐脈、心不全、高齢者、女性、虚血状態などがあり、これらの因子が複数存在する場合は使用を避けるべきである。