疾患関連情報

◆ 特別企画

なぜ、今心房細動なのか - 4

今後の脳卒中対策とガイドライン

6-1)地域医療連携と脳卒中対策基本法

棚橋

 脳卒中医療の役割分担ということで、急性期の治療をする病院から、回復期・リハビリ、さらに維持期と継ぎ目のないシームレス医療を行うことが重要になってきます。そのために、現在、各都道府県で脳卒中の地域医療連携クリニカルパスが盛んに使用されています(図9

クリニカルパスを用いて、一人の患者さんの情報を急性期病院からリハビリ専門病院、診療所・家庭医まで共有し、情報が徹底されるようになっています。
 脳卒中対策基本法については、国会で審議され、早急に法制化されるように期待しています。これが法制化されれば、地域においてさらにしっかりした脳卒中の診療体制が構築できると思います。

6-2)今後のガイドラインのあり方

奥村

 新しい抗凝固薬は、今後のガイドラインでどのように位置づけられるとお考えでしょうか。

内山

 脳卒中治療ガイドラインですが、これから新しいエビデンスがどんどん出てきますので、できるだけ改訂の間隔を短くし、新たな情報が日常診療に早く反映されるようにするべきだと考えます。新しい抗凝固薬についても、新しいエビデンスが出てくると思います。そのような情報を速やかに適宜反映し、改訂されることを望みます。

奥村

 最近は、新薬承認が以前に比べて随分早くなっていますから、それに対応できるよう、薬剤に関するエビデンスを蓄積し、われわれが得た情報を速やかに臨床現場に周知させることが重要ですね。

まとめ

奥村

 本日は、「なぜ今、心房細動なのか~心房細動を見過ごしてはならない~」というテーマで、各専門の立場からご意見をお伺いしました。お話の中で、心房細動を見過ごしてはならないということ、そのためにはどうしたら良いかということがよく理解いただけたかと思います。
 今後は、新しい抗凝固薬の登場により、心房細動治療における心原性脳塞栓症の予防法は大きく変わっていくと期待されます。本日は貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

■References

  1. 1)荒木信夫 他, 病型別・年代別頻度 欧米・アジアとの比較, 小林祥泰(編).脳卒中データバンク2009
  2. 2)Ohsawa M, et al., J Epidemiology 2005; 15: 194-196
  3. 3)橋場邦武, 日老医誌 1989; 26: 101-110
  4. 4)日本循環器学会, 心房細動治療(薬物)ガイドライン 2008年 改訂版
  5. 5)Yasaka M, et al., Intern Med 2001; 40: 1183-1188
  6. 6)日本脳卒中学会, 脳卒中治療ガイドライン 2009
  7. 7)Gage BF, et al., JAMA.2001; 285(22): 2864-2870
  8. 8)Lip GY, et al., Chest 2010; 137: 263-272
  9. 9)The Executive Steering Committee, on behalf of the ROCKET AF Study Investigators, Am Heart J 2010; 159(3):340-347

奥村 謙 先生

弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸賢蔵内科学 教授

  
  
1976年
熊本大学医学部卒業
1979年
熊本大学大学院 医学研究科入学
1983年
米国アラバマ大学医学部内科
循環器部門留学(リサーチフェロー)
1987年
熊本大学医学部 循環器内科 講師
1993年
熊本大学医学部 循環器内科 助教授
1996年
弘前大学医学部 内科学第二講座 教授
2006年
弘前大学医学部 副医学科長、
大学院医学研究科 副研究科長

内山 真一郎 先生

東京女子医科大学 神経内科学 主任 教授

  
  
1974年
北海道大学医学部卒業 東京女子医科大学 総合内科 研修医
1976年
東京女子医科大学 神経内科 助手
1981~
83年
米国 Mayo Clinic(Thrombosis Research Laboratory)研究員
1987年
東京女子医科大学 神経内科 講師
1995年
東京女子医科大学 助教授
2001年
東京女子医科大学 教授
2008年
東京女子医科大学 主任教授
2009年
東京女子医科大学 脳神経センター 所長

棚橋 紀夫 先生

埼玉医科大学国際医療センター 副院長・神経内科 教授

  
  
1974年
慶應義塾大学 医学部 卒業
1984~
85年
米国 テキサス州 Bayler医科大学 神経内科 留学
1989年
慶應義塾大学 神経内科学 講師
2005年
埼玉医科大学 神経内科 教授
2007年
埼玉医科大学 国際医療センター・脳卒中センター長

是恒 之宏 先生

国立病院機構 大阪医療センター 臨床研究センター長

  
  
1979年
大阪大学医学部 卒業、同 第一内科 入局
1980~
83年
大阪警察病院 心臓センター
1988~
90年
米国 ジョンズ・ホプキンス大学
1992年
米国 ユタ大学、大阪大学 第一内科 助手
1997年
国立大阪病院 循環器科
1998年
国立大阪病院 心房細動専門外来 開設
2008年
国立病院機構 大阪医療センター 臨床研究センター長